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ストーマケアについての調査

平成15年度オストメイト生活実態調査報告書

アンケート結果の概要

II.考察
昨年(第4回調査)に引き続いてのアンケート調査であったが、回収率が65%と短期間にも関わらず、高い回収率であったことは、日常生活や補装具に関する要望や意見がまだまだ汲み取れていないことと受け止められ、協会の活動に対する期待が大きいものと考えられる。
オストメイトの動向は、前回までの調査とあまり変わらないが、コロストミーの割合が 年々少なくなり、一方では人肛・人膀の割合が増える傾向が認められる。
年齢では65歳以上の年齢層が増加する傾向が明確であり、また手術後の経過年数も10年以上が増加しており、ストーマ造設者の長寿化が進んでいることが伺える。
1.身体障害者福祉法関連事項

(1)障害者認定について
身体障害者手帳の交付を受けているオストメイトは、毎回着実に増加しており、今回の調査でも手帳を貰っている人は96.3%で、貰っていない人は3.5%となっている。無回答者も第1回調査時の8.3%、第2回調査時の6.3%に対して、第3回調査以降は大幅に減少し今回は0.2%であった。これらは大多数のオストメイトが福祉施策に大きな関心を持つようになったことを意味しており、協会の日頃の啓蒙活動が実を結んでいることを示している。
平成15年4月1日施行の障害者認定基準改正の認知については、約4割の人が「知らない」と回答している。イレオストミーやコロストミーの認知度は、ウロストミーや人肛・人膀に比べてやや関心度が高い。今回の改正によりコロストミーは術後即時障害者として認定されること、今回の調査で56.3%の人肛・人膀が4級の認定になっているが、そのほとんどが上位級への認定の可能性があるなど、オストメイトの福祉制度が改善されたことを啓蒙して行くと同時に今後実施状況の調査を継続する必要がある。一方前回の調査で明らかなように、プライバシーの問題から認定申請しない人もいることを留意しておかねばならない。
なお、今回の改正は長年にわたり、諸先輩が行ってきた成果であり、病院単位の患者会では出来ない活動で、今後の障害者福祉制度の改善のため、これを機会に当協会にまとまるよう、更なる活動が必要である。
障害者認定基準の認知度
  (回答数) 知っている 知らない 無回答
全体 (650.0) 59.5 37.8 2.6
コロストミー (406.0) 64.0 33.5 2.5
イレオストミー (27.0) 70.4 29.6 0.0
ウロストミー (93.0) 50.5 46.2 3.2
人肛・人膀 (32.0) 46.9 50.0 3.1

(2)補装具交付券の発給状況
交付券の受給状況は、貰っている人の割合がこれまでは調査のたびに増加してきたが、今回は前回に比べて6.3%減の74.3%となった。ストーマ種別ではコロストミーが、また手術後の経過年数では10年以上の人の受給率が低いことが注目される。
世帯所得の制限の影響も大きいと考えられるので、今後とも所得制限での規制緩和や高額の自己負担については公費負担を要請する必要がある。
補装具交付券の受給状況
  (回答数) 貰っている 貰っていない 無回答
全体 (650.0) 74.3 21.2 4.5
【ストーマの種類】
コロストミー (406.0) 72.7 22.2 5.2
イレオストミー (27.0) 77.8 18.5 3.7
ウロストミー (93.0) 87.1 11.8 1.1
人肛・人膀 (32.0) 78.1 21.9 -
【手術後経過年数】
3年未満   82.9 13.2 3.9
3~5年未満   80.6 11.3 8.1
5~10年未満   79.1 17.3 3.6
10~20年未満   71.2 26.7 2.1
20年以上   67.6 23.8 8.6
補装具にかかる経費については、前回の調査と比較してもほとんど進展がない。補装具の費用が交付券のみでは不足する人が67.8%で、半数以上の人が5千以上15千円未満の負担を強いられている。
今回の障害者認定基準が改正され、全員、即認定されるようになったので、今後は、補装具の自己負担の軽減に精力的に取り組む必要がある。
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