公益社団法人日本オストミー協会 Japan Ostomy Association, Inc. (JOA)

コラム:ストーマと生きる~若いオストメイトのためのガイドブック~より

『病気と仕事』

声優 真山亜子

私が演劇を目指して東京に出てきたのは18才。かれこれ35年も経ってしまいました。最初の病気で手術するのが20才。良性腫瘍が見つかり、右臀部の筋肉も少し取ることになった。

「演劇を続けたいけど、手術してもできますか?」とドクターに訊ねると「オリンピックに出るつもりじゃなきゃ大丈夫。でも、ちょっとモンローウォークになるかな」の言葉に私は魅力を感じ、早く手術をして治りたいと思いました。結果はそんな甘いものではなく、リハビリは大変。

右の臀部の筋肉を少し取ったので、右足がふにゃりとなり安定しません。でも、劇団に戻って転びながらみんなと一緒に肉体訓練してました。若かったし、希望があったから乗り越えられたんでしょうね。

その後も27才でまた手術。2ヶ月の入院。演劇を諦め、声優の道へ方向転換。32才でクローン病認定され、43才でストーマちゃんがやってきました。ストーマちゃんがやって来てからも入退院の繰り返し。気持ちに体がついていってないのに、ブルドーザーのごとく突き進み大きな山にぶつかり動かなくなってしまった感じです。

舞台女優となる夢は挫折したけど、近頃の憧れの職業、声優となることができました。子どもの頃からコンプレックスだった声に感謝です。そしてたくさんの方に支えられ、引き立ててもらい今の自分がいます。でも、仕事が増えて来る頃と病気がひどくなるのが重なり、随分無理をしたと思います。

ストーマちゃんがやって来てからは、たくさんの魅力的なオストメイトの仲間たちに出会って、世界が広がりました。

歳を感じるこの頃は、体のほうが「無理だよ~!」と自己主張をはじめ、心は弱り気味。これからは心と体の折り合いをつけて、お互いの意見を聴きながら生きていこうと思います。